
家族が退職した年のふるさと納税、上限はいくらか分かりますか?
共働きのわが家は、毎年ふるさと納税を活用しています。寄付で応援した自治体から返礼品をもらい、寄付した額から2,000円を引いた分が、所得税と翌年の住民税から差し引かれる制度です。私は「住民税の前払いをして、なおかつ返礼品が手に入るお得な制度」という認識で使っています。
私の分は、すでに上限額の8割くらいで寄付しました。夫の分はこれからです。今年、退職して年金生活になった夫の上限額は、いくらになるのでしょうか。
給与所得、公的年金、個人年金がある今年。楽天ふるさと納税の詳細版シミュレーターとAIに相談しながら、上限額を計算しました。すると、給与所得と個人年金だった昨年の、半分の金額になったのです。公的年金の収入が加わったのに、どうしてなのでしょうか。
- 家族が年の途中で退職した
- 給与と年金の両方がある年
- 年金生活でも続けるか迷っている
- シミュレーターの入れ方が分からない
同じ立場の方が考えるときの物差しになればと思い、つまずいたところも含めてまとめます。まずは、夫の状況を整理します。
- 60歳で定年退職、その後は再雇用
- 66歳の6月30日に再雇用先を退職
- 公的年金は繰下げ、10月から受給開始
- 65歳から介護保険料を振込用紙で別に納付
- 健康保険は任意継続(最長2年)
- 個人年金は69歳まで受け取る
年金を65歳で受け取らずに繰下げたのは、日本年金機構によると1か月遅らせるごとに0.7%ずつ年金が増えるからです。増えた分で介護保険料をまかなう、というのが夫の考えでした。健康保険は、区役所に相談して国民健康保険と支払う金額をくらべ、任意継続を選んでいます。
上限額の計算は、詳細版シミュレーターの入力が難しかったです。正確な金額を入れないと、正しい上限額は分かりません。どの金額を入れればいいのか分からなくなり、AIに相談しながら進めました。
退職した年の上限の結論

先に、わが家の答えをまとめます。
上限は昨年の半分に
計算すると、今年の夫の上限額は、昨年の半分の金額になりました。
公的年金があっても下がる理由
6月で退職したので、お給料は半年分です。年金は2か月に1度、前の2か月分をまとめて受け取るしくみなので、今年受け取るのは10月と12月の2回、4か月分だけ。この年金は控除の範囲に収まるので、税金の計算では0円と同じ扱いになります。くわしくは「退職の年は上限が下がる」で説明します。
手続きは確定申告で
年の途中で退職すると、会社で年末調整をしません。そのため、ワンストップ特例は使えず、確定申告で手続きします。
何度もやり直した上限計算

上限を調べるのに使ったのは、楽天ふるさと納税の詳細版シミュレーターです。給与と年金の両方がある人にも使えます。
手元に置いた3つの書類
シミュレーターを開く前に、夫の書類を3つ手元に置きました。
| 書類 | 書いてあったこと |
|---|---|
| 源泉徴収票(2026年6月まで) | 支払金額・源泉徴収税額・社会保険料等の金額の3つだけ |
| 年金の支給額のお知らせ | 10月と12月に、2か月分ずつ支払う予定 |
| 個人年金のお知らせ | 1年に受け取る支給額 |
迷った3つのこと
「給与所得控除後の金額」「雑所得」など、まず言葉の意味が分かりませんでした。シミュレーターの説明には、年金は「雑所得」の欄に入れるとあります。それでも、次の3つで迷い、正しい金額が出るまで何度もやり直しました。入れ方を間違えると、上限が実際より高く出ることがあります。
- 年金のお知らせの金額を、そのまま入れていいのか
- 個人年金は、お知らせの支給額を入れればいいのか
- 社会保険料は、どこに入れればいいのか
AIに相談して分かったこと
AIに相談して、やっと分かった答えは次の3つです。AI様様です。
- 今年の年金は、控除の計算で0円になる
- 個人年金は、支給額から必要経費を引いた額
- 社会保険料は、源泉徴収票の額に任意継続6か月分と介護保険料を足す
給与と年金がある年の入れ方

つまずいたところをふまえて、給与と年金がある年の入れ方をまとめます。楽天ふるさと納税の詳細版シミュレーター(2026年分)の欄の名前で書いています。
| シミュレーターの欄 | 入れるもの |
|---|---|
| 支払金額 | 退職したときにもらった源泉徴収票の「支払金額」 |
| 給与所得控除後の金額 | 源泉徴収票の数字。空欄なら自分で計算 |
| 所得控除額の合計額 | 空欄なら0のまま |
| 給与以外の所得 → 雑所得 | 年金と個人年金の、控除や必要経費で差し引いた後の金額 |
| 年末調整は申告済、または申告予定ですか | 「いいえ」を選ぶ |
| 社会保険控除 | 源泉徴収票の社会保険料+退職後の健康保険料+介護保険料 |
源泉徴収票の空欄の埋め方
年の途中で退職すると、会社で年末調整をしないので、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」と「所得控除額の合計額」が空欄のことがあります。夫の源泉徴収票も空欄でした。「給与所得控除後の金額」は、支払金額から国税庁の給与所得控除の表で計算します。「所得控除額の合計額」は0のままにして、社会保険料はあとの欄で入れます。

雑所得は差し引いたあとの金額
雑所得の欄には、受け取った額ではなく、差し引いたあとの金額を入れます。公的年金は、その年の1月から12月に受け取る分から、公的年金等控除を差し引いた残りです。夫の場合、今年の公的年金は控除の範囲に収まるので0円です。個人年金は、国税庁によると、お知らせの支給額から、払ってきた保険料にあたる分(必要経費)を差し引いた残りです。必要経費は、保険会社から届く支払いの通知に書いてありました。

年末調整はいいえを選ぶ
「年末調整は申告済、または申告予定ですか」で「いいえ」を選ぶと、下に入力欄が開きます。その中の「社会保険控除」に、社会保険料を入れます。「料」の字が付いていないので、私は最初、見つけられませんでした。入れる金額は、源泉徴収票の社会保険料に、退職したあとに払った任意継続(国民健康保険の人はその保険料)を足したものです。夫は65歳以上なので、介護保険料は健康保険料とは別に納めています。この介護保険料の総額も、足す必要があると分かりました。

シミュレーターの金額は、あくまで目安です。入れ方に自信がないときは、少なめの金額で寄付しておくと安心です。正確な計算は、お住まいの市区町村の住民税の窓口や、税務署で相談できます。
退職の年は上限が下がる

退職した年は、なぜ上限が下がるのでしょうか。わが家の場合の理由と、それでも今年寄付する意味があるのかをまとめます。
お給料は半年分だけ
夫のお給料は、1月から6月までの半年分です。いつもの年の半分くらいの収入なので、そのぶん住民税も少なくなり、上限も下がります。
年金は控除の範囲に収まる
年金は、受け取った額から「公的年金等控除」を差し引いた残りに税金がかかります。国税庁の表では、65歳以上なら、年金の収入が330万円までは110万円を差し引けます。夫の年金は、10月と12月の2回で受け取る4か月分だけなので、控除の範囲に収まりました。今年の年金は、税金の計算では0円と同じ扱いです。
退職金は上限に含まれない
夫は60歳の定年のときに退職金を受け取っているので、今回はありません。ただ、退職金を受け取った年でも、上限は増えないそうです。八王子市の案内によると、退職金にかかる住民税は受け取るときに別に計算されるので、ふるさと納税の上限には影響しません。
退職した夫は来年も住民税を払う
今年のふるさと納税を考えるときに、まず迷ったのが「退職した夫は、来年も住民税を払うの?」ということでした。
答えは、払います。住民税は、前の年の収入をもとに決まるからです。夫の場合は、2026年のお給料と年金と個人年金をもとに、2027年度の住民税が決まります。総務省のふるさと納税のページによると、ふるさと納税の住民税の分は、寄付した翌年度の住民税から差し引かれます。つまり、今年寄付すれば、来年払う住民税が安くなります。退職した年でも、今年のふるさと納税をする意味はあるということです。
退職した年は、去年の住民税の通知を見ても、今年の上限は分かりません。去年の通知は、1年分のお給料で計算されているからです。今年の収入で、計算し直す必要があります。
年金だけの年も続けるか

今回いちばん知りたかったのは、来年、公的年金と個人年金だけになっても、ふるさと納税はできるのか、続けたほうがいいのか、ということでした。わが家の場合、来年は年金を1年分受け取るので、上限は今年より少し上がる見込みです。調べてみて、考えるときの物差しが見えてきました。
年金の通知に所得税の欄があった
10月に届いた年金の支払いの通知を見ると、所得税が書かれていました。年金にも所得税がかかるのかと、正直びっくりしました。国税庁によると、老齢年金は「雑所得」として税金の対象になります。日本年金機構の案内では、年金の額が一定以上あると、所得税が先に差し引かれます。年金にも税金がかかるので、年金だけになっても、住民税を払っていればふるさと納税はできます。
住民税がかからない人の目安
年金の額によっては、住民税がかからない人もいます。住民税がかからない人は、寄付をしても税金が戻らないので、寄付した額がそのまま自分の負担になります。横浜市の案内では、年金の収入だけの人の目安は次のとおりです。
| 配偶者なし | 配偶者あり(配偶者に収入なし) | |
|---|---|---|
| 65歳以上 | 155万円以下 | 211万円以下 |
| 65歳未満 | 105万円以下 | 171万3334円以下 |
住んでいる市区町村によって、この目安は少し変わります。お住まいの市区町村の案内を確かめてみてください。
住民税の通知で目安が分かる
毎年6月ごろに届く住民税の通知には、「所得割額」という欄があります。収入に応じてかかる住民税の金額です。ここが0円なら、ふるさと納税をしても税金は戻りません。
所得割額がある人は、通知を見ると上限の大まかな目安が分かります。目安は、所得割額の2割に2,000円を足した金額です。たとえば所得割額が10万円なら、2万2,000円くらいです。総務省の計算のしくみをもとにした、少なめの目安です。
ただし、退職した年は、前の年の通知が使えません。1年分のお給料で計算されているからです。退職した年は、今回の私のように、ふるさと納税サイトの詳細版シミュレーターに今年の収入を入れて、計算し直します。
年金生活のデメリット
年金生活になると、上限そのものが小さくなります。少し計算がずれただけで、自己負担が2,000円を超えることもあります。わが家は、今年の夫の分を上限の目安の半分くらいで考えています。
- 上限が小さくなる
- 寄付のお金は先に払う
- 税金が戻るのは翌年以降
- 確定申告が必要になることが多い
- 医療費控除を使うと上限が下がる
返礼品は毎日使う日用品に
上限が小さくなっても、2,000円の負担で返礼品を受け取れるしくみは変わりません。私は、食品で失敗してから、毎日使う日用品を選ぶようにしています。返礼品の選び方は、ふるさと納税で冷凍庫パンパンの失敗から日用品派になった話に書いています。
退職した年は確定申告で

寄付したあとの手続きも、いつもの年とは変わります。
ワンストップ特例は使えない
総務省のふるさと納税のページによると、ワンストップ特例が使えるのは、確定申告がいらない給与所得者などで、寄付先が5つ以内の人です。年の途中で退職して年末調整をしていない夫は、確定申告をするので、ワンストップ特例は使えません。
年金だけになる来年も、確定申告は続きます。国税庁によると、年金の収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら、確定申告はいりません。でも夫は、個人年金の所得が20万円を超えるので、この対象になりません。
引かれすぎた税金が戻ることも
年末調整をしていないと、お給料から引かれた所得税が多すぎることがあります。国税庁では、年の途中で退職して年末調整を受けていない人は、確定申告をすると引かれすぎた所得税が戻ることがあるとされています。ふるさと納税と一緒に申告できます。
確定申告で用意するもの
退職した年の確定申告では、いつもより書類が増えます。わが家の場合は、次のとおりです。
- 退職したときの源泉徴収票
- 年金の源泉徴収票(1月ごろ届く)
- 個人年金の支払いの通知
- 任意継続の保険料の支払い記録
- ふるさと納税の寄付の証明書
年金受給者のよくある質問

年金とふるさと納税について、私が迷ったことや、調べて分かったことをまとめます。
年金だけでもふるさと納税はできる
できます。ただし、税金が戻るのは住民税がかかっている人だけです。横浜市の目安では、65歳以上で配偶者のいない人は、年金の収入が155万円以下なら住民税がかかりません。
65歳以上は何が違う
年金から差し引ける「公的年金等控除」の額が違います。国税庁の表では、65歳以上は年金の収入が330万円まで110万円、65歳未満は130万円まで60万円です。同じ年金の額でも、65歳以上のほうが税金は少なくなり、上限も小さくなりやすいです。
退職金は上限に含まれる
含まれません。八王子市の案内によると、退職金にかかる住民税は受け取るときに別に計算されるので、上限には影響しません。退職金をもらった年でも、上限は増えません。
遺族年金は対象になる
国税庁によると、国民年金や厚生年金の遺族年金には、原則として税金がかかりません。遺族年金だけで暮らしている場合は、ふるさと納税をしても税金は戻らないので、気をつけてください。
失業保険をもらうと上限は変わる
変わりません。夫も受け取れるかもしれないので、調べてみました。厚生労働省のQ&Aでは、雇用保険(失業保険)の給付はすべて税金がかからないとされていて、確定申告もいりません。税金がかからないお金なので、ふるさと納税の上限を計算する収入には入りません。なお、65歳以上で退職した人は、失業保険が「高年齢求職者給付金」という一時金になります。
医療費控除と一緒に使える
使えます。確定申告で、医療費控除とふるさと納税を一緒に申告します。ただし、医療費控除を使うと税金の計算のもとになる所得が減るので、上限は少し下がります。医療費控除を使う年は、そのぶん少なめに寄付しておくと安心です。
ふるさと納税で年金は減る
減りません。ふるさと納税は、払う税金の一部を、寄付として前払いするようなしくみです。年金の額そのものは変わりません。
ふるさと納税のまとめ

夫が退職した年のふるさと納税は、上限額が昨年の半分になりました。AIに相談しながら社会保険料の煩雑な計算を進めることができて、今年も安心してこの制度を活用することができます。
- 退職した年は上限が大きく下がる
- 年金にも所得税と住民税がかかる
- 雑所得は差し引いたあとの金額
- 社会保険料は「社会保険控除」の欄に
- 退職した年は確定申告で手続き
- 所得割額を見て続けるか決める
家族が退職した年は、去年の感覚のまま寄付せずに、まずはシミュレーターで計算し直してみてください。楽天ふるさと納税の詳細版シミュレーターなら、給与と年金の両方を入れて計算できます。上限が分かったら、無理のない金額で、毎日使うものを選ぶのがおすすめです。
本記事は、筆者の家族が2026年に退職したときの体験と、2026年10月時点で確認した公開情報をまとめたものです。税金の計算は、収入や控除の状況によって一人ひとり異なります。シミュレーターの金額は目安です。正確な金額は、お住まいの市区町村や税務署にご確認ください。

